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すでに陽が地平線下に沈んで三十分以上経っていた。先ほどまで鮮やかに空を染めていた夕焼けも、もはや宵闇に取って代わられ、地上には急激に夜のとばりが降りつつあった。 安西は美奈子の家まであと数百メートルの...
数時間後、安西は事務所の自分のデスクに向かって腰を下ろしていた。 すでに日付が変わり、無人の事務室はがらんとしている。 デスクの上には、大判に引き伸ばされた十数葉の写真が並べられていた。写真には若い女...
バスタオルで全身を拭う。すでにエアコンの冷気で部屋の内部は快適な気温になっていた。 美奈子は下着を出して身に着けるとパジャマを手に取る。 今夜は早く寝るつもりである。明日も仕事だ。 浴室の明かりが消...
高く持ち上がった双つの乳房の上端で留められたバスタオルは、太ももの付け根の辺りまでしか伸びていない。もしローアングルで今の美奈子を眺めたら、二本の太ももと下腹部が織りなす微妙な三角州の部分が見えてしま...
雑木林の中で監視を続ける安西は、一軒家の浴室の明かりがついたのを認めた。ズームレンズ付きのカメラを覗いてみる。浴室の窓は磨りガラスになっているのだが、黒い人影が映ってなにやら動き回るのが見え、まもなく...
雑木林の中で潜む安西の耳に、やがて右手の方向から車のエンジン音が近づいてくるのが聞こえた。 「きたか‥‥」 安西は音源の方向を注視する。ヘッドライトが道路の周囲の雑草の群れをちらちら透かしながらゆっくり...
彼はもう何時間も前から雑木林の中で隠れ潜んでいた。 手足のやけに長い巨大な藪蚊が、風圧を感じるほどの大きな羽音をたてて、目の前を横切ってゆく。手の甲で追い払いながら改めて虫除けスプレーを全身に噴射する...
帰り支度を終えた菱川美奈子は、パートの同僚たちに挨拶をすると、職場の菓子工場を出た。 気温湿度ともに高く、粘着性すら帯びた空気が、とたんに身体全体に絡みついてきた。 「うわ、夕方でもまだ暑いなぁ‥‥」...
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