奪われるその7
ゆうくん
2005年01月03日
3,423
数時間後、安西は事務所の自分のデスクに向かって腰を下ろしていた。
すでに日付が変わり、無人の事務室はがらんとしている。
デスクの上には、大判に引き伸ばされた十数葉の写真が並べられていた。写真には若い女の裸体が写っている。無論、美奈子の盗撮写真だ。
美奈子の家の明かりが全て消えるのをじりじりする思いで待ち、一時間後にようやく家中の消灯を確認すると、期待に胸を高鳴らせながら飛んで返ってきたのである。
事務所には暗室が設けてある。デジカメが発達してきた昨今であるが、デジカメの画像は加工しやすいため、裁判になったとき証拠として採用されない。
そのため、いまだにフィルムのカメラを用いるのだが、外部の人間に見せられる性質のものではないので、事務所内で現像とプリントが出来るようになっているのだ。
写真とカメラが趣味の安西は、いつも撮影した証拠写真は自分で現像して焼き付けるようにしていた。手順は熟知している。
事務所に戻ると、都合のいいことに、すでに他の案件の調査員たちも全員今日の仕事を終え、帰宅していた。
そこで美奈子の裸体写真をこっそり暗室で現像し、大判の用紙に引き伸ばしてプリントし、乾燥機で乾かした後、自分のデスクでじっくりと鑑賞し始めたのだった。
我ながらよく撮れてる、と安西は思った。美奈子の若さに満ちた肉体が拡大された写真の中で躍動している。いや、写真の中の美奈子はただまっすぐ立っているだけだから“躍動”という単語は不適切かもしれない。が、その姿は見るものに弾むような印象を与えた。これが若さの持つ魅力というものだろうか。
使い古された言葉で言うなら“ピチピチ”しているのである。
安西はしばらく美奈子の身体全体が写っている写真を眺めた後、いよいよ局部のアップを手に取った。年甲斐もなく興奮した。鼓動が速くなる。
ほぼB4サイズのプリントいっぱいに、美奈子のビーナスの丘が写し出されている。
はっきりとした土手高で、楕円形のアンダーヘアが悩ましかった。
安西はその部分に目を凝らす。
美奈子の恥毛は案外淡いものだった。毛の隙間から地肌がところどころ透けて見えるほどだ。両ももが下腹部と触れあう三角形の頂点を凝視する。彫刻刀でスパッと削いだような切れ込みが、薄い草むらを透かして、わずかに見えているのが認められた。
――こ、これが美奈子の‥‥。
これは明らかに股間に息づく亀裂の上端に違いなかった。美奈子の両足がぴたりと閉じられているので奥の方は窺うことが出来ない。女の器官全体が見られないのがひどく残念であった。
だが、たとえ美奈子があの場面で両足を開いて立っていたとしても、女の部分を全て視覚に捉えることはとても不可能であろう。
もし美奈子の“そこ”を余すことなく眺めたければ、彼女を自分の目の前で裸に剥いて、無理矢理にでも股間を露わにする姿勢をとらせなければならない。
安西はそう思い、そして自分の思念に慄然とする。
嫌がる人妻を力づくで‥‥。それは甘美な魅力だ。だがあまりに恐ろしい‥‥。
安西は危険な想念を振り落とすように首を振り、目を閉じた。しかし目をつむったのは返って逆効果だったようだ。視覚が遮断されたことにより、妄想が急成長を始めてしまったのだ。
瞼の裏を、写真の中の裸身がちらちらとよぎる。そしてその平面的な裸体は、安西の想像力で急速にリアルさを増していく。いつの間にか、安西は美奈子の生まれたままの姿を、息づかいまで感じるほどの現実感で、自分の目の前に感じることが出来た。なまの肉体がそこにあった。
しかも安西の妄想はそれにとどまらず、どこまでもふくらみ続けていく。
ふと気がつくと、安西は美奈子の身体をベッドの上に組み敷いていた。
二人とも一糸まとわぬ全裸である。すでに美奈子の両ももの間に安西の下半身が入り込み、怒張が女の二重の扉を左右に割り裂いて、激しい往復運動を繰り広げている。
美奈子の乱れた呼吸、時折漏れる熱い吐息、汗ばんだ白い肉体。そういったものが、ベッドのシーツと安西の身体のはざまで、突き上げられ律動している。
荒い息づかいの合間に、美奈子の訴えるような声が弱々しく響く。
“‥‥ああ、もうやめて。‥‥お願いです。もう‥‥いや‥‥”
肉体を蹂躙された女の哀愁のこもった声色である。潤んだような瞳を安西に向ける。
“‥‥わ、わたしには‥‥夫が‥‥。だから‥‥お願い‥‥”
安西は美奈子の訴えに耳を貸すことなく責め続ける。律動に合わせてフルフルと震えている双乳に手を伸ばす。美奈子の悲鳴が上がる。
“いやっ!やめてください‥‥。駄目‥‥触らないで‥‥”
安西の両手は、こんもりと盛り上がった柔肌の丘を捉えると、ゆっくりと時間をかけて揉みしだく。ゴツゴツと節くれ立った手のひらの下で、美奈子の乳房が自由自在に変形させられる。激しく揉めばいいと思っている若者とはひと味違った、中年男のいやらしさを剥き出しにした粘着質の愛撫である。
“‥‥ああ‥‥いや、やめて‥‥”
美奈子の声が急速に鼻にかかったものになっていく。明らかに美奈子は性感を呼び覚まされつつあるのだ‥‥。
安西は閉じていた目を開いた。そこには現実が、無人の事務室が、静寂に満ちた空気が、彼を取り巻いていた。淫らな妄想を振り払うため、先ほど同様、首を強く振る。
喉がからからに渇いていた。給湯室へ行き、備え付けのコップで水を立て続けに二、三杯胃に流し込む。
流しの鏡で安西は自分の顔を見た。充血して濁った目が己自身を睨んでいる。
再び美奈子の裸身が脳裏をよぎる。
「美奈子‥‥犯るか‥‥」
安西は口の中でつぶやいた。
すでに日付が変わり、無人の事務室はがらんとしている。
デスクの上には、大判に引き伸ばされた十数葉の写真が並べられていた。写真には若い女の裸体が写っている。無論、美奈子の盗撮写真だ。
美奈子の家の明かりが全て消えるのをじりじりする思いで待ち、一時間後にようやく家中の消灯を確認すると、期待に胸を高鳴らせながら飛んで返ってきたのである。
事務所には暗室が設けてある。デジカメが発達してきた昨今であるが、デジカメの画像は加工しやすいため、裁判になったとき証拠として採用されない。
そのため、いまだにフィルムのカメラを用いるのだが、外部の人間に見せられる性質のものではないので、事務所内で現像とプリントが出来るようになっているのだ。
写真とカメラが趣味の安西は、いつも撮影した証拠写真は自分で現像して焼き付けるようにしていた。手順は熟知している。
事務所に戻ると、都合のいいことに、すでに他の案件の調査員たちも全員今日の仕事を終え、帰宅していた。
そこで美奈子の裸体写真をこっそり暗室で現像し、大判の用紙に引き伸ばしてプリントし、乾燥機で乾かした後、自分のデスクでじっくりと鑑賞し始めたのだった。
我ながらよく撮れてる、と安西は思った。美奈子の若さに満ちた肉体が拡大された写真の中で躍動している。いや、写真の中の美奈子はただまっすぐ立っているだけだから“躍動”という単語は不適切かもしれない。が、その姿は見るものに弾むような印象を与えた。これが若さの持つ魅力というものだろうか。
使い古された言葉で言うなら“ピチピチ”しているのである。
安西はしばらく美奈子の身体全体が写っている写真を眺めた後、いよいよ局部のアップを手に取った。年甲斐もなく興奮した。鼓動が速くなる。
ほぼB4サイズのプリントいっぱいに、美奈子のビーナスの丘が写し出されている。
はっきりとした土手高で、楕円形のアンダーヘアが悩ましかった。
安西はその部分に目を凝らす。
美奈子の恥毛は案外淡いものだった。毛の隙間から地肌がところどころ透けて見えるほどだ。両ももが下腹部と触れあう三角形の頂点を凝視する。彫刻刀でスパッと削いだような切れ込みが、薄い草むらを透かして、わずかに見えているのが認められた。
――こ、これが美奈子の‥‥。
これは明らかに股間に息づく亀裂の上端に違いなかった。美奈子の両足がぴたりと閉じられているので奥の方は窺うことが出来ない。女の器官全体が見られないのがひどく残念であった。
だが、たとえ美奈子があの場面で両足を開いて立っていたとしても、女の部分を全て視覚に捉えることはとても不可能であろう。
もし美奈子の“そこ”を余すことなく眺めたければ、彼女を自分の目の前で裸に剥いて、無理矢理にでも股間を露わにする姿勢をとらせなければならない。
安西はそう思い、そして自分の思念に慄然とする。
嫌がる人妻を力づくで‥‥。それは甘美な魅力だ。だがあまりに恐ろしい‥‥。
安西は危険な想念を振り落とすように首を振り、目を閉じた。しかし目をつむったのは返って逆効果だったようだ。視覚が遮断されたことにより、妄想が急成長を始めてしまったのだ。
瞼の裏を、写真の中の裸身がちらちらとよぎる。そしてその平面的な裸体は、安西の想像力で急速にリアルさを増していく。いつの間にか、安西は美奈子の生まれたままの姿を、息づかいまで感じるほどの現実感で、自分の目の前に感じることが出来た。なまの肉体がそこにあった。
しかも安西の妄想はそれにとどまらず、どこまでもふくらみ続けていく。
ふと気がつくと、安西は美奈子の身体をベッドの上に組み敷いていた。
二人とも一糸まとわぬ全裸である。すでに美奈子の両ももの間に安西の下半身が入り込み、怒張が女の二重の扉を左右に割り裂いて、激しい往復運動を繰り広げている。
美奈子の乱れた呼吸、時折漏れる熱い吐息、汗ばんだ白い肉体。そういったものが、ベッドのシーツと安西の身体のはざまで、突き上げられ律動している。
荒い息づかいの合間に、美奈子の訴えるような声が弱々しく響く。
“‥‥ああ、もうやめて。‥‥お願いです。もう‥‥いや‥‥”
肉体を蹂躙された女の哀愁のこもった声色である。潤んだような瞳を安西に向ける。
“‥‥わ、わたしには‥‥夫が‥‥。だから‥‥お願い‥‥”
安西は美奈子の訴えに耳を貸すことなく責め続ける。律動に合わせてフルフルと震えている双乳に手を伸ばす。美奈子の悲鳴が上がる。
“いやっ!やめてください‥‥。駄目‥‥触らないで‥‥”
安西の両手は、こんもりと盛り上がった柔肌の丘を捉えると、ゆっくりと時間をかけて揉みしだく。ゴツゴツと節くれ立った手のひらの下で、美奈子の乳房が自由自在に変形させられる。激しく揉めばいいと思っている若者とはひと味違った、中年男のいやらしさを剥き出しにした粘着質の愛撫である。
“‥‥ああ‥‥いや、やめて‥‥”
美奈子の声が急速に鼻にかかったものになっていく。明らかに美奈子は性感を呼び覚まされつつあるのだ‥‥。
安西は閉じていた目を開いた。そこには現実が、無人の事務室が、静寂に満ちた空気が、彼を取り巻いていた。淫らな妄想を振り払うため、先ほど同様、首を強く振る。
喉がからからに渇いていた。給湯室へ行き、備え付けのコップで水を立て続けに二、三杯胃に流し込む。
流しの鏡で安西は自分の顔を見た。充血して濁った目が己自身を睨んでいる。
再び美奈子の裸身が脳裏をよぎる。
「美奈子‥‥犯るか‥‥」
安西は口の中でつぶやいた。