奪われる27

ゆうくん
2005年03月22日
6,610
「いやあっ!だ、だめえっ!」
股間の中心から妖しい感覚が湧き出し、美奈子の狼狽も大きくなる。お尻を振って少しでも安西の舌先から逃れようとするが、安西にがっちり押さえ込まれているので、下半身は微動だにしない。
安西はここでも粘着ぶりを発揮し、慌てず急がず、ゆっくりと粘膜をいじくり回す。
外観以外にも安西は美奈子の肉体の変化を察知していた。饐えたような臭いに代わり、甘酸っぱい性臭が亀裂から立ち上り始めている。この様子なら、間もなく“濡れて”くるはずだ。
安西は期待で胸を高ぶらせながら愛撫を続行した。
やがて――
「‥‥うっ!」
それまで動かぬ身体を懸命にくねらせて感覚の襲撃に耐えていた美奈子が、突如、電気に感電したように全身を硬直させた。
――こ、こんなことって‥‥う、うそでしょ‥‥。
己の胎内に潤いを感じたのだ。美奈子の最奥で淫らな体液が滲み出た瞬間だった。“潤い”の感覚は急速に広がってゆく。このままでは体の外まで滲み出すのも時間の問題だった。
――い、いや!美奈子、人形になるのよ!感じちゃだめ!
美奈子は全身に力を込めて、必死に感覚の暴走を抑えようとする。
胎内に湧き出た泉が溢れ出したら――愛液の出口では男の舌が淫らに動き回っているのだ。女体の“変化”をたちどころに知られてしまうだろう。それは死にも勝る恥辱だ。
が、美奈子の努力ははかないものだった。安西に襞肉を舌先で弄ばれると、どうしても快楽が火花を散らしてしまう。止めようがない。
安西はふと、美奈子の粘膜を嬲り続ける舌先に、液体のヌルッとした感触を得た。
すでに、美奈子の船底型の基底部は、安西の舌先ですっかり蹂躙され、彼の唾液で濡れ光っている。しかし今舌先が感じたのは明らかに自分の唾液ではなかった。
それは、女の臓器に通ずる入り口を覆う襞肉の隙間から、じわりじわりと滲み出てくるのだ。
安西は舌を口腔内に回収して味わってみた。酸っぱいようなしょっぱいような味。間違いなかった。美奈子の愛液だ。
安西はキツネ面をニヤリと歪ませた。
――美奈子が俺の愛撫で感じてる、感じてるんだ‥‥。
安西はまた舌先を花びらの内部に送り込む。粘膜の襞を掘り起こし、底の方からすくい取ってゆく。
徐々に美奈子の胎内から湧き出る体液が、その量を増してきた。花びらが急速に潤いを増し、天井の照明を反射して、濡れ輝いている。
やがて、安西の舌の動きに応じて、ピチャリ、ピチャリと水音がかすかに立ち上り始めた。その音は当然美奈子の耳にも届かざるを得ない。
――ああ、とうとう‥‥。
美奈子は自分の股間に愛液が湧き出てきたことと、それを縁もゆかりもない中年男に味わわせている現実を知った。恥辱と羞恥で紅潮した顔を横にがっくりと伏せる。

――ど、どうして‥‥こんな愛してもいない男に‥‥反応してしまうの?
美奈子は自問自答したが、経験の浅い美奈子にわかるはずもなかった。
美奈子の肉体がこうも短時間にもろくも崩壊しつつあるのは、幾つかの要素が重なったからだ。
第一に美奈子本人は自覚していなかったが、身体が慢性的に性欲の解放を求めていたということが挙げられる。
新婚で次第に性の悦びを覚え始めた途端、夫の雄二は転勤で遠く離れてしまった。その後三カ月に渡り、一切男との接触はなかったのだ。ある意味、潜在的な欲求不満に陥っていたとしても無理のないことだった。
次に、安西の老獪さが挙げられるだろう。離婚したとはいえ、やはり二十年近く結婚生活を営んできた安西は女の身体というものをよく知っている。しかも、結婚していた時期も、妻に隠れてかなり女遊びも盛んだった――そもそもそれが離婚の原因になった――ので、普通の夫婦生活では知り得ない淫靡な知識や技術も豊富だ。いわば女体を知り尽くしていると言っても過言でない。
そんな安西から見れば、若葉マーク付きの美奈子を屈服させるなど、赤子の手をひねるようにたやすかった。
愛撫が始まった段階で、いきなり大股開きにしなかったのも、羞恥心のあまり美奈子が自分の殻に閉じこもるのを防ぐ意図があった。あの際、美奈子は自分が両足を大きく裂かれるに違いないという予感があった。それをよい意味で裏切ることにより、美奈子の心に隙を生むことに成功したのだった。
また愛撫も、いきなり飢えた獣のような激しいやり方は相手の警戒を招いてしまう。性感を性感と気づかぬようなソフトな愛撫で、女の緊張のほつれを誘うのがいい。
初めのうちはくすぐったいだけで、まさか自分が感じているなど夢にも思わない。自然、警戒心が緩む。そして気づいたときには性欲の大きなうねりに翻弄さている己に気づくのだ。
美奈子はまさにこの罠にはまったのだ。舌で何度も二枚貝の合わせ目を舐められていたときは、むず痒さしか感じなかった。これが性の快楽の呼び水になるとは予想もできなかった。が、結局はこれが突破口となって、美奈子の肉体はいつの間にか安西の前に内奥の秘密をさらけ出そうとしている。
まさに蟻の穴から堤も崩れるのだった。