奪われる19

ゆうくん
2005年01月10日
3,911
「奥さん、ちょっと我慢してください。しっかり押さえておかないと、レースだけ切れないんで‥‥」
安西はこっそり生唾を飲み込む。
親指と人差し指でブラの先端を摘み上げた。薄手のブラなので、カップ越しでも乳首の突起を探り出すのは容易だった。すぐに乳房の頂点の可憐な尖りを確認できた。指に力を込め、小ぶりの乳首を挟んで摘み上げる。
「うう!」
美奈子の口からうめきが漏れる。
「‥‥な、なにを‥‥するんですか‥‥」
「奥さん、ちょっとの辛抱ですよ。すぐ邪魔なレースを切っちまいますから」
安西は、できるだけ下卑た笑いが浮かばないように顔面の筋肉に力を送り込みながら答える。あくまでブラジャーが動かないように押さえつけているのだということを、真顔になることで強調した。
鋏でジョキ、ジョキとレースとカップを少しずつ分離させていく。鋏の先端が移動するにつれ、カップを押さえつけている指も微妙にうごめかせる。
親指と人差し指で乳首を挟み込み、強弱をつけて、摘んだり緩めたりの反復運動をする。また、時計のリューズを巻くようにグリグリとねじってみる。さらに乳首から指を離し、ブラを乳房から若干浮かし加減にして、乳首とカップの布地が擦れるように左右に振る。
ブラの下で、乳首がいいようになぶられる。
「‥‥ああ、いやです、やめてください‥‥」
美奈子は不快そうに眉間に皺を寄せて、弱々しく訴える。この安西の乳首への愛撫が刺激となって、美奈子の精神もようやく虚脱状態から立ち直りつつあったが、それでもまだ積極的に抵抗するまでには至らない。
安西は真顔のまま問い返す。
「やめてくれって、何をです?」
女の口から“乳首を摘んだり擦ったりするのはやめてください”とはなかなか言いにくいものだ。安西はそれをよく知っている。
「‥‥そ、その指の‥‥」
「私の指がどうしました?はっきり言ってください」
「‥‥‥‥」
美奈子は結局言葉に出せず、うなだれてしまう。
安西は心の内で哄笑しつつ、じっくりと鋏を動かし、同時に乳房への刺激を続けた。
「‥‥あ」
美奈子の口から小さな驚きの声が漏れる。安西の指で乳房を弄ばれるうちに、先端の突起が固く尖ってきた感覚を覚えたのだ。ムクムクと頭をもたげ、硬度を増していく。
美奈子は狼狽した。どうして乳首が反応してしまったのだろう。
男の指の刺激で性感が刺激されたのではない。女の乳首は敏感だ。ちょっと服の布地との摩擦が生じただけで固くなったりすることがある。極端な話、冬に気温が低いと、冷たい空気に触れただけで勃起することさえあり得るのだ。
赤ん坊への授乳のため、本質的に刺激を受けると反応するようにできているのだろう。
美奈子は、今の自分の身体に起こっている変化について、ただ単に乳房の先端がブラジャーのカップと擦れたための現象であると結論づけた。断じて“感じて”いるのではない。その証拠に、乳首をなぶられても、反応は下半身の女の器官まで波及していないではないか。

が、乳首は美奈子の考えなど無視するように、ゆっくりと着実に膨張し、固さを増してゆく。安西が片方のカップのレースを切断し終わる頃には、先端の部分はいつの間にか限界まで膨張し、これ以上ないほどの硬度にまで達した。
美奈子はそれが不安で顔を曇らせた。
安西の方も、カップ越しにムクムクと双乳の先端の突起が、膨らみ固くなっていくのがわかった。心の中で快哉を叫ぶ。
――ふふふ、とうとう感じ始めたな。こんどはもう片方だ。
安西は攻撃の対象を左のブラジャーへ移した。同じように乳首に刺激を加えながらゆっくりレースの飾りを切り取っていく。
今度は右側のよりも反応が早かった。あっという間に乳首が固く張ってゆく。
「‥‥ううう‥‥」
美奈子はうろたえてうめいた。
安西が鋏を使い終えた頃には、左側の突起も限界まで膨張していた。
「奥さん、ちょっとブラジャーの位置を調整しますよ」
固く目を閉じた美奈子にそう声をかけた安西は、両方の手のひらで双乳を包み込んでしまう。指を熊手のように開いて、軽く揉み始める。
「い、いや‥‥な、なにをするんですか‥‥。やめて」
「なにって、言ったでしょう、ブラの位置を調整してるんですよ」
「そ、そんな」
「うーん、もう少し真ん中に寄せた方がいいかな。それとも上にずらしますかね」
適当なことを言ってはブラごと美奈子の乳房を弄んだ。
「‥‥ああっ」
美奈子が小さく、しかし鋭い叫び声を上げた。
双乳の先端から身体の奥の方へ電流に似た感覚が走ったのだ。安西の手の動きに呼応して、二度、三度と神経繊維の上をチリチリとした快楽の信号が駆け抜けていく。
美奈子の肉体は明らかに性感を呼び覚まされていた。雄二の転勤以来、閉鎖されていた快楽への階段が今、強制的に門戸を開かされつつあるのだ。よりによってこの下卑た中年男に。
美奈子は眉間に深い皺を寄せ、必死に湧き上がろうとする快楽の感覚を抑圧しながら、己の肉体の脆さ、危うさに不安を募らせていた。